top of page

秋の繁忙期を乗り切る労務管理と働き方改革について

8月24日

読了時間:3分

トータルサポート株式会社

0

10

0


1.秋は建設業にとって「繁忙期」



9月から11月にかけて、建設業界では公共工事や民間工事の発注が集中し、現場が最も慌ただしくなる時期を迎えます。


特に公共工事は、「年度内完成」が基本であるため、秋口から年末にかけて、工期の追い込みが発生しやすい傾向です。


国土交通省の調査によれば、公共工事の発注件数は例年9月以降に増加し、12月にピークを迎える事が分かっています。


つまり、この時期をどう乗り切るかが、現場の安全・品質・経営に直結するのです。




2.繁忙期がもたらす課題


繁忙期には次の様な課題が現場に生じやすくなります。



・長時間労働によるリスク



人員不足のなかで工期短縮に追われ、時間外労働が増えやすいです。

2024年4月からは、建設業にも「時間外労働の上限規制」が適用され、原則月45時間・年360時間、特例でも年960時間までとなっており、違反すれば行政指導や罰則の可能性もあります。


・安全管理の低下



工程を詰め込みすぎるとヒューマンエラーや事故が発生しやすくなります。


労災統計によると、建設業の労働災害の約3割は「墜落・転落」が占めており、繁忙期の焦りが安全確認不足に繋がるケースが多いです。


・品質低下のリスク



人員や時間を無理に削った結果、仕上がりや検査工程がおろそかになり、後戻り作業やクレームに繋がる恐れがあります。




3.労務管理のポイント


こうしたリスクを避けるには、事前の労務管理と工程調整が不可欠です。


・計画的な人員配置



繁忙期に入る前から外注先や協力会社との連携を強化し、必要に応じて派遣や短期雇用も検討する事が重要です。


・シフトと休憩の徹底



厚生労働省は「熱中症予防指針」の中で、暑さが残る時期にはこまめな休憩を推奨しています。秋とはいえ、日中は30℃を超える日もあり、過労や体調不良を防ぐために、休憩時間を工程表に組み込む工夫が有効かと思います。


・ITツールの活用



工程管理アプリや勤怠管理システムを導入すれば、現場の作業進捗や残業時間を見える化できます。

国の「建設業働き方改革加速化プログラム」でも、ICT活用による業務効率化を推奨しており、ICTの新規導入で補助金の対象となるケースもあります。




4.働き方の工夫


繁忙期を乗り切るためには単なる労務管理に加えて「働き方の工夫」も必要です。


・前倒し施工の意識



秋は台風や秋雨前線による天候不順が多いため、晴れ間を活用して前倒しで作業を進める事が、工期遅延を防ぐ最大のポイントとなります。


・多能工化による柔軟な現場運営



一人の作業員が複数の作業をこなせるように育成する「多能工化」は、人員不足に強い現場を作ります。国土交通省の調査でも、多能工化を進めた現場は生産性が平均で約15%向上した、と報告されています。


・ベテランの知恵を共有する仕組み



繁忙期こそ、若手とベテランの連携が重要です。

安全上の注意点や作業効率化のコツを「見える化」して伝承する事で、現場の底上げに繋がります。




5.まとめ


秋の繁忙期は、建設業にとって避けて通れない試練の季節です。

しかし、事前の労務管理と働き方の工夫によって、工期・安全・品質の3つを両立する事は、十分に可能です。


「忙しいから仕方ない」と片付けずに、労働時間規制や安全管理を意識した体制作りを進める事が、長期的に見て経営を守る第一歩となるでしょう。





出典

熱中症予防のための情報資料サイト」厚生労働省

建設業 時間外労働の上限規制 分かりやすい解説」厚生労働省

建設業働き方改革加速化プログラム」国土交通省

マルチクラフター(多能工)を育成しよう!」国土交通省

8月24日

読了時間:3分

0

10

0

関連記事

コメント

あなたの思いをシェアしませんか一番最初のコメントを書いてみましょう。
bottom of page