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ベテラン社員のノウハウを見える化する方法

2日前

読了時間:5分

トータルサポ�ート株式会社

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■「あの人がいないと現場が回らない」が現実に起きていませんか?


長年にわたって現場を支えてきたベテラン社員の存在は、会社にとってかけがえのないものです。

その判断力や対応力は、単にマニュアルを覚えたから身につくものではありません。

経験に裏打ちされた勘やコツが、日々の施工やトラブル対応に大きく役立っています。

しかし、そのノウハウは往々にして、本人の頭の中だけに存在しており、記録にもデータにも残されていないという現実があります。

仮にその人が突然現場を離れたら、他の社員が同じように判断・対応できるでしょうか。いざという時に、会社全体で対応力が落ちてしまうのでは意味がありません。




■「ノウハウを見える化」とは何をどう残すことか?


いわゆる「ノウハウ」とは、マニュアルに書かれているような一般的な手順ではなく、その人だからこそ気づく微細な判断や調整力のことを指します。

たとえば、暑い日には舗装材が早く硬化するから午前中に仕上げるべきだとか、この収まり方では後々不具合が出やすいといったような“現場感”のある知識です。

あるいは、特定の職人さんにどう話しかければ作業が円滑に進むか、近隣住民への声かけはどのタイミングが良いか、といったこともノウハウの一部です。

こうした「人にしか分からないコツ」を、他の社員にも伝わる形で残していくのが「見える化」です。紙でも、音声でも、動画でも構いません。要は、再現性がある形にすることが大切です。




■実際に成果が出ている3つの取り組み


実際に建設業の現場で取り入れられ、効果があった具体的な取り組みを3つご紹介します。



①紙の「共有ノート」

まず一つ目は、紙の「共有ノート」を使う方法です。

ある舗装工事会社では、現場ごとに専用のノートを用意し、施工後にベテラン社員が気づいた点や改善案を自由に書き込むようにしています。

たとえば、「この現場では地盤が予想より軟弱だったため、転圧の回数を増やした」「このルートで資材を運ぶと渋滞に巻き込まれる」など、現場ごとのリアルな記録が蓄積されていきます。

このノートは月に1回、社内ミーティングで読み合わせされており、若手社員にとっては現場に出る前の“参考書”として活用されています。



②動画記録

二つ目は、スマートフォンを使った動画記録です。

あるリフォーム会社では、実際の施工中にベテランが作業している様子を撮影し、その映像に短い音声解説をつけて保存しています。

たとえば、「この収まり方だと見た目は良いが、後から水が溜まりやすくなるので注意」といったコメントが、動画とセットで残ることで、若手社員は繰り返し学ぶことができ、より具体的に理解しやすくなります。

動画は社内のクラウドに保存し、社員全員がスマホで見られるようにしています。



③ヒアリング

三つ目は、OJT中に若手が「聞き役」となってベテランの知識を引き出す方法です。

ある中規模の土木会社では、新人社員に質問リストを持たせ、現場で「なぜこの順番で作業するのか」「天気によってどのように工程を変えているのか」など、疑問に思ったことをその場で質問し、記録に残す取り組みを始めました。

聞かれることでベテラン側も自分のやり方を改めて考え、言葉にして説明する習慣がついたそうです。若手の吸収も早くなり、現場でのミスが減ったとのことです。



■見える化は未来への投資


このように、ノウハウの見える化は、現場の属人化を防ぎ、作業の品質や安全性を高める大きな力になります。何より、若手社員が先輩の知恵を学ぶことで、自ら考える力が身につき、成長スピードも格段に上がります。

また、万が一の退職や異動があっても、会社としての“技術の断絶”を防げる点でも、大きな安心材料となります。



■最初の一歩は「小さく・簡単に」始めることから


すべてのノウハウを一気に記録する必要はありません。最初は、ベテラン社員に「今日の現場で気づいたことを一言メモしてもらう」だけでも十分です。スマホで1枚写真を撮り、ひとこと解説を添えるだけでも、立派な「知識の資産化」になります。

こうした取り組みを少しずつ重ねていくことで、会社としての“知恵の蓄積”が確実に進んでいきます。




■まとめ:経験を残す文化が会社の未来を強くする


建設業は "人"で成り立つ仕事です。

そしてその技術や判断力は、記録されなければ、ベテランの退職とともに失われてしまう恐れがあります。

今回ご紹介したように、ノウハウの見える化は、特別なシステムや大きな投資がなくても始めることができます。手書きの共有ノート、スマホで撮る短い動画、OJT中の簡単なヒアリング、どれも、今日から実践できる取り組みです。

「今は忙しくて…」「時間がかかりそう…」と思うかもしれませんが、だからこそ、“小さく・簡単に・継続できる”方法で始めることが大切です。こうした積み重ねが、会社全体の生産性を高め、若手の育成スピードを速め、万が一の“技術断絶”を防ぐ備えになります。

ノウハウは、その人だけのものではなく、会社の未来を支える“資産”です。

今日から、未来への技術継承を一歩踏み出してみませんか?




出典

・国土交通省「建設現場の働き方改革取組事例集」2022年

・日本建設業連合会「中小建設会社の現場改善報告書」

・国土交通省「i-Construction実証事業報告」2020年

・一般社団法人建設技能人材機構「技能伝承プログラム」

・建設業振興基金「技能継承支援事業」2021年


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