
建設業の中小事業主や個人事業主の中には、労災保険に加入していない方が多いです。
労災保険は原則として「雇用されている労働者のみ」を加入対象としているので、
事業主や役員などの経営者側と、雇用契約を結んでいない個人事業主は、労災保険へ加入が出来ません。
しかし、建設業の場合は働き方や労働環境から、「特別加入」といった制度が設けられており、諦めていた労災保険に加入する事が出来ます。
ではこの制度はどの様な制度なのか、本記事では簡単に解説をしていきます。
◆特別加入制度とは?
┃概要と背景
先に説明した通り、本来は加入できない個人事業主や法人役員の方に対しても、労災保険の保護を提供するための制度です。
ではどうして建設業はこうした制度で保護されているのでしょうか?
・中小規模の建設会社では事業主や法人役員でも現場作業をする事が多いです。
・高所作業や機械操作が日常的であるため事故のリスクが高くな っています。 ...等
原則は「雇用されている労働者」に限定している保険ですが、上記の様な建設業独特の働き方から、「特別加入」という制度が生まれました。
┃補償
・労働中に発生した事故による怪我などを治すための医療費を補償してくれます。
・他にも怪我により休業した期間の給与も補償してくれます。
・万が一死亡してしまった場合には遺族補償を受ける事も出来ます。
労災保険は事業の存続を生活の安定に大きく寄与するため、事業主にとって非常に価値の高い制度です。
┃対象者や条件
特別加入制度は建設業者に限定した制度ではありません。
では対象者はどんな人でしょうか?
・中小事業主...各業種によって定められた数以下の労働者を常時雇用する事業主、事業主の家族従事者、役員など
・個人事業主(一人親方)...運送業者、建設業者、林業者、医薬品販売者、廃 棄物運搬業者、船員、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、歯科技工士など
※従業員を雇用する場合は上記の中層事業主の特別加入に切り替えが必要です。
・特定作業従事者...特定農作業従事者、公共の訓練従事者、労働組合の常勤役員、芸能関係者、ITフリーランスなど
・海外派遣者...発展途上地域の事業に従事する人、企業提携先海外で事業に従事する人など
◆建設業における特別加入の重要性
┃リスク対策
今まで無事故だからといって、しっかり安全対策をしているからといって、今後も無事でいられるかは不確かです。
建設業は事故以外にも天災の影響も強く受けるため、全く予期せぬ事故に繋がってしまいます。
また、怪我をして休業する事態になってしまうと、休業中は事業が止まってしまいます。
それだけではなく、個人事業主の場合は完全出来高制なので、休業期間の給与はゼロになる、といったリスクも背負っています。
特別加入制度を通じて、万が一の事故や怪我に備える事ができ、リスクを抑えられます。
◆メリット・デメリット
┃メリット
①生活・自分・家族・事業を守れる
一番のメリットはこれではないでしょうか。
労災保険に加入していれば、医療費や給与は補償されるので、少しでも余裕が持てます。
もし家族がいる場合は家族の生活を守る事にも繋がります。
②取引先からの信用に繋がる
労災保険に加入していなければ受注出来ない現場というのも少なくありません。
加入をするだけで請けられる仕事も増え、元請などの取引先からの信頼にも繋がります。
┃デメリット
①手続きが面倒
後で説明をしますが、加入には手続きが必要です。
この手続きが複雑で面倒くさくなっております。
労働保険事務組合に加入するのにも多少なりとも手続きが必要となります。
②費用がかかる
保険制度であるため加入後は毎月保険料を納めなければなりません。
また、労働組合保険事務組合に加入をする場合は、組合費も毎月掛かってきますし、組合によっては入会費も掛かってきます。
◆特別加入の手続き
┃申請方法
特別加入の手続きには様々な書類と専門知識が必要となってきます。
一般的には労働保険事務組合に加入して、組合を通じて保険の加入を行います。
組合に加入して代行してもらう事で、必要書類のチェック・書類提出や手続きの代行など、複雑な手続きを大幅に簡略化する事ができます。
※組合加入にかかる費用は組合によってことなります。
┃必要書類
①法人企業の場合
・法人登記簿謄本のコピー(発行から3か月以内のもの)※法務局で発行出来ます。
・法人名義の預金通帳と通帳届出印
・法人代表印
②個人事業主の場合
・事業主の運転免許証(裏表のコピー)
・事業主名義の預金通帳と通帳届出印
◆まとめ
建設業は他業種と比較しても高いリスクのなか労働をしている為、怪我や事故に遭う可能性も高くなっております。
建設業の小規模事業主矢一人親方にとって、特別加入制度は重要な制度となります。
加入に伴いメリット・デメリットがありますが、労災が身に降りかかってからでは遅いです。
安全に働けているうちに加入する事をお勧めいたします。
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