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自然災害における建設業の役割、迫る南海トラフ地震の影

2024年11月24日

読了時間:5分

トータルサポート株式会社

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南海トラフ地震のイメージ画像

2011年の東日本大震災の復旧に際して、建設業は大きな役割を果たしました。


震災後まもなく、瓦礫を撤去し崩れた道路を直して、復旧の為のライフラインを整備した様子は、まだ多くの人々の記憶にあるでしょう。


予測される南海トラフ地震は、地震大国の日本であっても、国難といえる程の脅威です。


この記事では、南海トラフ地震での被害想定や、建設業による備えについて紹介します。



■南海トラフ地震について

地理と地震と家のイメージ画像

南海トラフ地震は、駿河湾から日向灘沖の範囲を震源として、概ね100~200年間隔で発生してきた大規模地震の呼称です。


そもそも南海トラフとは、四国の南の海底にある深い溝の事です。

日本の南側にあるフィリピン海プレートが、北側のユーラシアプレートの下に沈み込む事で、2つの境界にひずみが蓄積されていきます。このひずみを開放するため大地震が繰り返し起きています。


政府地震調査研究推進本部によると、南海トラフでは100~200年の間隔で蓄積されたひずみを開放する大地震が発生しており、前回の南海トラフ地震(昭和東南海地震)は1944年及び1946年に発生しており、発生してから既に70年以上が経過している状況です。


2013年の時点では60~70%だった発生確率が、2018年には70~80%に引き上げられて、今後30年間で南海トラフ地震が発生する確率が高まっていると考えられています。



■予想される震度や被害

地震での災害イメージ

政府の中央防災会議は科学的に想定される最大クラスの南海トラフ地震が発生した場合の被害想定を発表しています。(※この被害想定は発生過程に多様性がある南海トラフ地震の一つのケースとして整理されたもので、想定通りの振れや津波が必ずしも発生するという訳ではありません。)


揺れ静岡県から宮城県にかけての一部では、最大震度7となる可能性がある他、隣接する地域では震度6強~6弱の、強い揺れになると想定されています。

南海トラフ地震における震度予想図
南海トラフ地震の震度分布予想図(気象庁ホームページより)













津波:関東地方から九州地方にかけての太平洋海岸の広い地域には、10mを超える大津波が長周期的に襲来するでしょう。

南海トラフ地震における津波高予想図
南海トラフ地震の津波高予想図(気象庁ホームページより)













インフラ:鉄道や航空機などの事故、電車などの交通網の分断情報や通信などの途絶、が想定されインフラは壊滅状態に陥るでしょう。


二次被害:周辺地域で同時多発的な土砂崩れや河川氾濫など、二次的な自然災害にも繋がると想定されています。


死者最大死者32.3万人という想定で、超巨大地震と見られています。想定で一番死者が出る地域は静岡県で10.9万人だと思われています。


避難人数:地震発生の翌日には、概ね430万人が避難所へ・概ね270万人が親族や知人宅へ、避難をすると想定されています。また、平日の正午に地震が発生した場合は、帰宅困難者が380万人に及ぶと見込まれています。


不足:不足量として、食料は1週間で9600万食・飲料水は1億4500万リットル、に達します。交通網の寸断で物資が届きにくい事、届いても適切な配分が出来ない事、買い占めが起きてしまう事、様々な要因で物資は困窮すると想定されています。



■災害に対する建設業の役割

国家強靭化と重機の写真

①建築物やインフラの耐震化


南海トラフ地震では最大震度7という強震動が発生する想定で、全壊する建築物は最大34.6万棟に達するとされています。


そこで重要となってくることが、建築物やインフラの耐震化です。


公共施設は災害時に避難所とされているので、特に強く設計する必要があります。


また、上下水道や電柱などのインフラも耐震化が済んでいないと、生活に大打撃となる事は言うまでもありません。


最近では水道管の耐震化工事などが多く見受けられ、インフラの耐震化は着実に進んでいると思います。


建設業界に対しては、より強固となる耐震化技術の開発や、耐震技術の導入を進める事が求められます。



②避難所や防波堤の強化


津波は南海トラフ地震における最大の脅威の一つです。

特に海岸線に近い地域においては、高台・避難所・防波堤の強化は必須です。



③交通網の整備


交通網は災害時に救護物資の運搬などに利用されるので、復興に欠かせない重要ポイントになります。


また、避難路としての確保も重要となり、災害時に安全に機能されるか等、事前調査を行う必要があります。



④土砂災害の対策


土砂災害は、防災拠点や重要交通網に影響を及ぼしたり、孤立集落が発生したりする要因となり、危険箇所の見極めや対策が急務です。


土砂災害を防止するための工事を専門的に行っている業者もあり、業界全体での意識は高く持てていると言っても良いのではないでしょうか。



⑤災害時の事業継続の確保


建設業は社会インフラを整備する重要な産業です。


そのため、自然災害が発生した場合でも、事業を長期間中断する事なく、迅速に復旧する事が求められます。


では早期復旧のためにどの様な対策が取れるでしょうか。

具体的には以下のものが挙げられます。


・災害時の指揮系統、業務の優先順位、資材の確保など事業継続の策定

・図面などをクラウドサービスへ保管し保護

・緊急時には迅速に協力会社との提携を強化

・予備作業員リストの用意

・避難指示や安全確保のためのマニュアル作



■まとめ

建設業のイメージ画像

南海トラフ地震の被害を最小に抑える為に、建設業が果たす役割は大きくなっています。


事前の対策では安心して暮らせる街づくりを考える事。


災害時にはこれまでの建設業の技術やノウハウを発揮し、迅速に対処する事が求められるのではないでしょうか。


それにより救われる人がいるのならば、誇らしく素晴らしい事だと思います。





参照:南海トラフ地震と南海トラフ地震臨時情報2019┃気象庁

https://www.data.jma.go.jp/eqev/data/nteq/symposium/02/fig/kouen_yokohama_1.pdf)

参照:南海トラフで発生する地震┃政府地震調査研究推進本部(https://www.jishin.go.jp/regional_seismicity/rs_kaiko/k_nankai/)

参照:南海トラフ地震の被害想定について┃内閣府防災ページ(https://www.bousai.go.jp/jishin/nankai/nankaitrough_info.html)

2024年11月24日

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